“Yes we can”の次の名言は?2016年アメリカ大統領選の選挙スローガンを見てみましょう

2016

02

29

こんにちは、ラングリッチ教育企画部です。

現在はアメリカ大統領選の真っ只中ですね。2008年の大統領選ではオバマ大統領の名言”Yes, we can!”や “Change” が誕生しました。

2016年も前回のような名言は誕生するのでしょうか?

今回の大統領選も民主党2名、共和党6名の候補者が自身をアピールするための選挙スローガンを掲げて出馬をしています。この記事では、各候補者の選挙スローガンから候補者の顔を覗いてみましょう。

“Yes we can”の次の名言は?

民主党

Hilary Clinton ヒラリー・クリントン (68)
選挙スローガン: Hilary for America
「ヒラリーを、アメリカのために」

米国での知名度がほぼ100%とも言われているヒラリークリントン。そんな高い知名度を生かした、自身の名前を前面に出したスローガン。

どんな人?
元国務長官で元ファーストレディー。キャッチフレーズの“Everyday Americans need a champion. And I want to be that champion.”で「普通のアメリカ人(中流層)のために戦う大統領になりたい」と宣言しているように、アピールポイントは一般的な中流家庭出身で、普通の人々の気持ちがわかること。2008年に次ぐ2度目の出馬となる。選出されればアメリカ初の女性大統領になる。

政策内容: 雇用創出とインフラ整備、最低賃金の引き上げ、男女の賃金格差の解消、医療制度改革の拡充、犯罪司法制度の改革、包括的な移民制度改革、大学の学費負担の軽減など。

結果:アイオワ州党員集会 (1位)、ネバダ州党員集会 (1位)、ニューハンプシャー州予備選 (2位)、サウスカロライナ州予備選 (1位)

Bernie Sanders バーニー・サンダース (74)
選挙スローガン: A Political Revolution is Coming
「政治改革が始まろうとしている」

“Revolution”=「革命」。”Coming”には「〜の始まり、〜の到来」という意味がある。スローガン通り、医療の国民皆保険の導入やメガバンクの解体などを含めた大掛かりな改革を視野に入れている。

どんな人?
非常にリベラルな思想を持つ無所属派の現バーモント州国会議員。社会主義者と自任する、今回の最年長候補者。若者からの信頼が特に厚く、ヒラリーの2倍とも言われている。女性からの支持もヒラリーに負けない。ジャーナリスト、大工、大学講師など、過去の職歴も豊富。選出されればアメリカ初のユダヤ人大統領になる。

政策内容: 医療の国民皆保険の導入、最低賃金の引き上げ、富裕層への課税強化、所得格差是正、大学の無料化など。

結果:アイオワ州党員集会 (2位)、ネバダ州党員集会 (2位)、ニューハンプシャー州予備選 (1位)、サウスカロライナ州予備選 (2位)

共和党

Jeb Bush ジェブ・ブッシュ (63)
選挙スローガン: Jeb!
「(フルネームJohn Ellis Bushの頭文字をとってJeb)!」。

ポイントは最後の「!」で、本人によるとこれは「ワクワクさ(excitement)」を表現している。ロゴのデザインも非常にポップである。スローガンではブッシュ姓を前面に出していない。

どんな人?
第41代大統領George H.W Bushの息子で第43代大統領George W. Bushの実弟。決めセリフの”Right to rise” で、「(誰もが)豊かな生活を営む権利がある」と主張している。1999-2007のフロリダ州知事時代は特に教育改革に力を入れて、2つの教育系シンクタンクを創設者した。最近では「妻がヒスパニック系だから、自分もヒスパニックと選挙登録していた」という発言が話題に。

政策内容: 全米共通学力基準「コモンコア」による教育水準の底上げ、移民関連法の見直し、イラクのクルド政府の支援、オバマケアの廃止して代わりに健康保険購入者に税額控除を提供するなど。

結果:アイオワ州党員集会 (6位)、ネバダ州党員集会 (7位)、ニューハンプシャー州予備選 (4位)、サウスカロライナ州予備選 (4位)

Ben Carson ベン・カーソン(64)
選挙スローガン: Heal. Inspire. Revive.
「癒す、感化する、復活させる」

“Heal”には「病気を治す」、「宗教的な奇跡的治癒」という意味合いもある。他候補と違い、「アメリカ」も「自身の名前」も出てこない。この政治家らしくないスローガンを掲げるカーソンは政治経験ゼロの元医師である。敬虔なキリスト教徒であり、政治思想も信仰に基づいている。そんな特徴が現れているスローガン。

どんな人?
元神経外科医。頭部が癒着したベトナム人のシャム双生児を分離する手術に成功して、国際的に名を馳せた。政治経験はないものの、「オバマケアは奴隷制度以来の最悪な制度だ」と発言したり、2013年の朝食祈祷会でオバマ大統領に「税率の一律10%引き上げ」を提案をしたりと、政治的にはかなり活発である。選出されればアメリカ2人目の黒人大統領になる。

政策内容:憲法の均衡予算修正案を批准、キューバのグァンタナモ湾収容キャンプに賛成、人工中絶を支援するPlanned Parenthoodの補助金の廃止など。

結果:アイオワ州党員集会 (4位)、ネバダ州党員集会 (4位)、ニューハンプシャー州予備選 (8位)、サウスカロライナ州予備選 (6位)

John Kasich (64) ジョン・ケーシック
選挙スローガン: K for US
「K(ケーシックの頭文字)をアメリカのために」

スローガン自体も、ロゴのデザインもシンプルで控え目。知名度の高いヒラリーやお騒がせなトランプなどのインパクトが強い候補者の中でも、割と大人しい印象を放っており、スローガンもこのイメージに合っている。

どんな人?
現オハイオ州知事。1983年から2001年まで下院議員を務めた。投資銀行での勤務経験やニューズ番組でのコメンテーターとしての経験がある。財政面では保守的だが、知事を務めるオハイオ州でのオバマケアの展開や 、全米共通学力基準「コモンコア」を支援する姿勢を共和党保守派に批判されている。

政策内容: 軍事資金の増加、減税、州支出の削減、人工中絶を支援するPlanned Parenthoodへの補助金の廃止、在沖縄米軍の増強など。

結果:アイオワ州党員集会 (8位)、ネバダ州党員集会 (5位)、ニューハンプシャー州予備選 (2位)、サウスカロライナ州予備選 (5位)

Ted Cruz テッド・クルーズ (44)
選挙スローガン: Reigniting the Promise of America
「アメリカの約束を呼び起こす」

アメリカの約束を再び果たす、希望のあるアメリカを再び、というメッセージ感じられる。“Reigniting”には「再熱」という意味合いもあり、クルーズの若く熱量のあるイメージに合っている。

どんな人?
強硬派。テキサス州選出の上院議員。父はキューバ移民で母はアメリカ人母親である。本人はカナダで生まれ、その後テキサスに移った。共和党のティーパーティー(保守派草の根運動)からの支持高く、宗教保守派の支持を得るためにもキリスト教の価値を前面に出している。2013年、オバマケアの反対するために21時間もの演説で政府機関閉鎖を招いたことで知られている。

政策内容:オバマケアの廃止、自由貿易の促進、所得税の一律10%、内国歳入庁の廃止、不法移民の合法化に反対、イランとの核合意の破棄、イスラエルとの同盟強化など。

結果:アイオワ州党員集会 (1位)、ネバダ州党員集会 (3位)、ニューハンプシャー州予備選 (3位)、サウスカロライナ州予備選 (3位)

Marco Rubioマルコ・ルビオ (44)

選挙スローガン: A New American Century
「アメリカの新世紀」

他の候補者と同様、アメリカを復活、新生させるというメッセージ。違いは任期の4年間、8年間だけでなく、100年(=century)という長いスパンを約束しているイメージ。100といえば、2006年に出した『フロリダ州の未来の為の革新的な100のアイデア 』という本が好評を得ている。

どんな人?
2010年に当選した、フロリダ州上院議員。両親がキューバ系移民のヒスパニック。過去の共和党政権とのつながりが強く、選出されたら過去の共和党政権メンバーが復活するだろうと言われている。対中関係に特にに強腰でオバマ政権の対中政策を「融和策」と批判。「尖閣は日本領」と発言した事もある。

政策内容:オバマケアの廃止、軍予算の増額、キューバとの国交正常化の停止、反銃規制、法人税引き下げ、米中外交での強硬姿勢など。

結果:アイオワ州党員集会 (3位)、ネバダ州党員集会 (2位)、ニューハンプシャー州予備選 (5位)、サウスカロライナ州予備選 (2位)

Donald J. Trump ドナルド・トランプ (69)
選挙スローガン: Make America Great Again!
「偉大なアメリカの復活!」

アメリカの経済が失速していた1980年代に選出されたレーガン元大統領のスローガンを再利用。トランプは演説で現状のアメリカに対する不満を列挙、政治体制を批判するが、「偉大なアメリカの復活」を実現させる、具体的な政策の提案は特に見られない。

どんな人?
自身の持つリアリティーショーで一躍有名になった不動産王。自身の資金力やビジネススキルを売りにしている。「イスラム教徒を米国に入れるな」、「米国にいるメキシコ人は麻薬犯罪者、レイプ犯だ」などと差別発言が目立つ。「オバマ大統領が実際はハワイではなくケニア生まれで大統領の資格はない」、という国際陰謀論を蒸し返したのも彼である。

政策内容:不法移民の抑止、メキシコとの国境に壁をつくる、米中貿易においての強硬姿勢など。

結果:アイオワ州党員集会 (2位)、ネバダ州党員集会 (1位)、ニューハンプシャー州予備選 (1位)、サウスカロライナ州予備選 (1位)

まとめ

名言になりそうな、印象に残ったひとことはありましたか?
それぞれのスローガンから多様な個性や政治思想が見えてきます。しかし、共通している点もありますね。

一つ目は多くのスローガンが「復活」、「新生」、「改革」というメッセージを含んでいること。大きなChangeが必要な今のアメリカの状態を表しているようです。
また、候補者の「マイノリティー」感も共通しています。女性であるヒラリー、ユダヤ系であるサンダース、夫人がヒスパニック系であるブッシュ、自身がヒスパニック系であるクルーズとルビオ、黒人であるカーソン。まだまだ変化は必要ですが、少しずつ変わってはきていることを示しているようです。


オンライン英会話 ラングリッチに無料会員登録する

Topへ戻る